TAKARAZUKA MANIA

タカラヅカ歴長めと短めが2人が勝手に書き放題なブログです。

自分の脚本家への好みとか超どうでもよくなった雪組壬生義士伝

本格的に宝塚にハマってやっとこさ2回目の夏を迎えようとする、
ぽんきちと申す者でざいます。


個人的に石田先生の作品を拝見するのは、
雪組全ツ『誠の群像』月組『カンパニー』ときて、
今回の『壬生義士伝』で3作品目となります。


『誠の群像』の望海風斗さんの土方歳三が最高にかっこよかったことを差し引いても、
自分が過去に見た石田先生の2作品は、
比較的「平常心で観れる」感じでした。
(ポジティブに表現しております)


なのでぶっちゃけ今回の『壬生義士伝』も
「日本物の雪組」らしさと、
また最高にかっこいいに違いねえ望海さんと、
完全に永倉新八担当をほしいままにしている真地くんと

最終的には贔屓組ってだけで全然楽しめるし
ふんふんふーーん♪

みたいな感じでした。


無事初日の幕が開き、
数回観劇した今となっては私の涙腺はもう、

例の犬です。
かの有名なあの犬です
パブロフの。

ビビるわ。

 


あんまり組ファンが泣けるアピールをすると周りは冷めるよな
とか思ったりもしますが、
そんなんも全然どうでもいいです。


実際劇場では全く泣けなかったアピールも耳にしてるので、
ほんとそういうのは人それぞれ。

 

私の場合は、

望海さん演じる吉村貫一郎
真彩希帆さん演じる妻 しづ
彩海せらくん演じる息子 嘉一郎
彩みちるちゃん演じる娘 みつ

この4人が舞台上にそろうだけで
もう、、あかん


諸々総合して感じることは、
芝居、音楽、演出あらゆる要素で、
なんかこう、

おしんだとか家なき子だとかに通じる、
貧困苦しいよね家族大事だよね北国の雪はそれだけでしみるよね
みたいな

そういう日本人の琴線に触れるものがあるんだろうな
という感じです。

そのあたり原作の力が凄まじいのだろうけど。


以下ネタバレどころの騒ぎではないのでご了承ください。

 


今回の『壬生義士伝』、
とにかく新撰組の面々のキャラが立ってるなあ
と感じるのです。

コンテンツとしての新撰組のおもしろさが、よく表れてる。

史実や実態はさておき、中二心とオタク心をくすぐりまくる
そういう新撰組のおもしろさ。

米でたとえるとね、
一粒一粒が輝いて立っているんですよ。

米といえば、
劇中で透真かずきさん演じる佐助の握る
南部米の握り飯があまりにも美味しそうですよ。

話を戻しますよ。


望海さんの吉村貫一郎
真那春人さんの近藤勇
彩凪翔さんの土方歳三(やばい)
朝美絢さんの斎藤一
永久輝せあさんの沖田総司

このあたりは言わずもがなですが、

久城あすさんの小川信太郎
煌羽レオさんの伊東甲子太郎
天月翼さんの篠原泰之進
橘幸さんの原田左之助
真地佑果さんの永倉新八
真地佑果さんの永倉新八
諏訪さきさんの藤堂平助
眞ノ宮るいさんの近藤周平
縣千さんの池波六三郎

みんなみんな、しっかり役が生きているぅ。

私が好きなのは、
立ち回りの時に相手が
「藤堂..!」
とか
「篠原ぁ!」
とか名前を言うんですよ。

斬りながら紹介してくれる!

もう、あすくんは小川だし、
はいちゃんは周平だし、
縣くんは六三郎なんです。

そして特筆すべきは奏乃はるとさんの谷三十郎

新撰組一同がバーンと登場した瞬間から、
もう谷は谷でしかないわけです。

新撰組のテーマ、
当然のようにかっこいい歌にかっこいい振付にも関わらず
谷さんは120%谷さんとして出来上がってしまってて、

こいつやべーやつじゃんみたいな。
絶対何かヘマするやんみたいな。

 ご贔屓見ようとしてうっかりオペラで谷さんを覗いてしまった日には、
もう逃れられません。

ほんと好き。

酔っ払いの演技が最高に最高です。

 


そして何より申し上げたいのは、
真地くんの今回の永倉新八がとんでもなく好きだということです。


『誠の群像』での真地くんの永倉さんといえば、

夏美ようさん演じる芹沢鴨切腹シーンで
その所作と気迫のこもった視線がとっても素敵だったのですが


約1年ちょいぶり2回目の永倉新八役となった今作では、
まーーーーーー
真地くんの色んな魅力が凝縮されている。


今回数か所唐突に笑いが挟まれますが
(個人的にはそれも好きです)
そういう場面にはほぼ永倉が絡んでいます。

かと思えば、
小川の切腹にて谷が介錯を失敗する場面では、

堂々たる風格の鋭い視線で事の顛末を見据えてるんですよ。
これがマジでやばいんですよ。
マジでやばいんですよ。

若手隊士が騒然とする中、
隊長格のみなさんはまぁみんなそうなんですけども。

てかあの場面そのものが見ごたえがあります。


赤い照明に和太鼓(?)のドンドンドンドンという緊張感を煽る音

あすくん演じる小川が落ち武者の風体で暴走する姿は、
一歩間違えればコントになってしまうであろうに
独特の緊張感を保ち続けます。

なんなら直前の、
谷の介錯の間尺の遠さを、吉村がツッコむやり取りは普通に笑えます。

そこからすっと空気が変わるのがたまらん。

最終的に吉村が谷に代わって介錯をする瞬間は、

宝塚らしからぬリアルめな
ブシャァッッ
という血しぶきSEと共に
血が飛び散る様子が
スクリーンにシルエットで表現されています。

そのあと朝美さん演じる斎藤一がブチギレて
「谷ぃ!!!」
と谷さん(ていうかにわさん)を思いっきり足蹴にするところまで含めて、

ここまでやるからこその見応えがクセになります。


それ以外にもカリさん演じる伊東甲子太郎征伐の油小路の場面も
下級生含め立ち回りのテンポが気持ちがいいし、

吉村が周平や六三郎に稽古をつけるシーンも、
竹刀の音がもう完全に強豪剣道部(イメージ)で
最終的に

剣術ってかっこいいな!!

となります。

他にも、
悪役の手本のようないやーーな親戚を演じてる
沙月愛奈さんと杏野このみさん

この手の話には欠かせない本当にいやーーな役で、
お二人のお芝居で見事にそれが効いていて、

二人に対して怒りで刀を振り上げる嘉一郎と、
息子の非礼を必死に詫びる母しづと、
ただただ泣くしかない幼いみつと。

あゆみさんとあんこさんお二人のお芝居が
悪いやつらであればあるほど、
引き立つ吉村家の悲しさ。

上級生娘役さんの役者魂を感じる場面です。


そしてこの場面の最後にきぃちゃん演じるしづが、
みちるちゃん演じるみつに、

こらえてね、

こらえてね


と言い聞かせるんですが、
ここが今回の真彩希帆さんのお芝居の、最高の見せ場だと私は勝手に思っている。

 


そしてなんと言っても、
望海さん演じる吉村貫一郎
命からがら南部藩大阪蔵屋敷にたどり着いて以後は、
もうね。


望海さんと咲ちゃんが
今まで何度も色んな形の友人役をやってきた、

積み重ねみたいなのも感じるし。
しみます。

咲ちゃんチームと言えば、
りーしゃさんの佐助はもはや出演者の誰よりも作品の世界に馴染みすぎていて、
もうほんと凄いとしか。
佐助が肩を払えばそこには雪が見えるし、
桶に入れた手をぴっぴとすれば、
そこには水が見える。

あと、望月篤乃くんと朝澄希くん演じる家臣コンビのシンクロっぷりにどんどん磨きがかかっている。
そして単純にビジュアルがよい。


話を戻しましょう。


南部藩大阪蔵屋敷の、
吉村最期の場面。


しづが
「面影抱きしめて あなたを待つ」
と歌いながらゆっくりと銀橋を歩き、

本舞台では貫一郎がぼろぼろの身体を引きずり
自らの腹を切るべく壁際に向かいます。


この時銀橋で歌うきぃちゃんの寂しげな歌声のうしろで、
望海さんが身体を引きずりながら咽び泣く声が、
マイクを通さず静かに聞こえてきます。


この構図の奥行と、
二人の声の奥行と、
さびしげな照明と。

遠く離れた地で思い合う二人の心情があああ
ああああああああああ

 

 

 

というわけで。


場面単位で言うと好きな場面ばかりなんですねぇ。

繫げ方とか原作の解釈とか
いろいろあるのかもしれないけれど、


とりあえず私は、
雪組さんと石田先生、
舞台に関わる全てのスタッフの方に、感謝申し上げたい。


そしてもう、
観る前から脚本家で選り好みするのはやめようと、
心に誓ったのでした。。。